登山した日-2024.5.30
今から十数年前の秋頃に、西黒尾根から谷川岳を登って上越国境稜線のオジカ沢ノ頭、万太郎山経由で吾策新道を下ったことがありました。その時に見た錦色の山肌や上越国境の険しい山並みの景色は本当にキレイだった・・・また歩きたいな。
という事で2024年の5月下旬にここを歩く事にしました。
今回は群馬県の土合駅そばにある無料駐車場に車を停めて、下山後は新潟県側の土樽駅から電車で土合駅まで戻って来るプランで、土樽駅の最終列車が18:09なのでその時間に間に合うよう歩かないといけません。
谷川岳・万太郎山登山地図
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【コースタイム】
3:30駐車場5:50ラクダの背7:10谷川岳8:40オジカ沢ノ頭9:35小障子ノ頭10:25大障子ノ頭11:30万太郎山16:50土樽駅 (計13時間20分)
西黒尾根から目指せ谷川岳
駐車場に着いたのは午前3時。こんな時間誰も居ないかと思いきや登山者の車がちらほらやって来るし、もうすでに歩き始めている人も居ます。空を見上げると白み始めた空に星が輝いているのが見えて今日の天気は約束されているような感じでした。
埼玉の自宅を出たときは21℃もあった気温が土合まで来るとなんと6℃。車から出ると寒さで凍え死にそうです。
久々の真夜中行動だから眠いし身体がダルいです。シャキッとさせようとエナジードリンクを飲んだけど余計に気分が悪くなったような気がする・・・。駐車場から西黒尾根の登山口まではおよそ20分の単調な舗装路歩き。この歩きである程度身体を慣らしておかないと西黒尾根の登りで絶対ヘバリそう。
暗闇の先に見えて来たのは谷川岳登山指導センター。戸を開けて中へ入るとカビの匂いが鼻を突きました。ここで登山届を出して西黒尾根の登山口へ向かいます。
湯檜曾川のゴーゴーという沢音を聞きながら車道を歩き続けると西黒尾根の登山口が見えてきました。西黒尾根は過去何度も歩いてきたのにいざ登山口へ立つと不安と緊張に包まれます。西黒尾根は『日本三大急登』の一つに数えられているから言葉だけでビビってしまうんでしょうね。
でも嬉しい気持ちもあるんです。今日はどんな素晴らしい景色と出会えるんだろうって!
それでは安全登山で頑張っていきましょうか!
西黒尾根へ入った瞬間から急登が始まります。でも体力満タンだからズンズン登っていけます。さっきまで寒くてブルブル震えていたのに一瞬にしてシャツ一枚でも汗が吹き出るキツイ登りの連続。
最初真っ暗だった森の中も日が出て周りが見通せるくらい明るくなって来ると、ブナの密林の真っ只中にいました。
登れど登れど延々と続く単調なブナの森と急登。もうそろそろ景色が開けるはずなんだけど・・・と思いながら眼前の急坂を登り切った先も延々と続く始末。あまりにしんどいから現実逃避しようと心を無にしたり、下山したら何を食べようかとか、仕事や家庭や人間関係の事とかを意味もなく考えてみたりとかしてるといくらか辛さから逃れることができました。
駐車場から歩き始めて2時間が経とうとする頃、樹林帯を抜けて岩場の小さな広場に出ました。この樹林帯から抜けた瞬間はいつも気持ち良いですよね!
西黒尾根から望む谷川岳の勇姿
駐車場からここまで歩きっぱなしで疲れました。ちょっと休憩しましょう。
樹林帯には無かった小風が火照った身体をみるみる冷やしてくれるし、眼前に広がる天神尾根や上越の山並みの展望が良好で疲れが消えていきます。ここで出来るだけしっかり休みましょう。なぜならこの先は鎖場の連続なのです。
広場を過ぎるとすぐに鎖場が現れます。特に難しくはないけど朝露で岩肌が濡れてるので結構滑ります。
鎖場を越えると眼前の景色が開けて、谷川岳の全貌を初めて捉えました。
残雪を従えて立ちはだかる姿は迫力があって押しつぶされそう。
マチガ沢の残雪と新緑。
ラクダの背~ラクダのコル
1つ目の鎖場を越えた先も鎖場が連続します。どの鎖場も岩が滑りやすく少し登り辛い箇所もあったけど慎重に越えてラクダの背(ラクダのコブ:1516m)と呼ばれる小ピークに立ったのは午前5:50頃でした。
ここもすこぶる展望が良くて行く手にそびえる谷川岳はもちろん白毛門や清水峠方面の山々を存分に望めました。
ラクダの背を過ぎると下り道で、小さな鞍部(ラクダのコル)に降り立つと巌剛新道との合流点になっていました。
西黒尾根の核心部・氷河の跡とザンゲ岩
ラクダのコルからは谷川岳最後の登りで、ここから標高差400mを一気に駆け上がっていきます。眼前に立ちはだかる赤茶けた岩場が登りのキツさを一層際立たせます。
その赤茶けた荒々しい岩場だけど、いざ取り付いて見るとそこかしこに可憐な花が咲いていて意外な感じ。だってこんな荒涼とした岩地なのに花で彩られているなんて!
因みにこの白い花はハクサンイチゲで、このあともあちこちで出会うことになります。
赤茶けた岩場を登り切り標高1800m付近までやってきました。いよいよ西黒尾根の核心部に迫ります。
正面には『氷河の跡』の一枚岩、左上には『ザンゲ岩』の瘤状の岩が間近に見えてきます。
氷河の跡。大きな一枚岩がまな板のようです。
ザンゲ岩。ここまで来れば谷川岳山頂はもう間近。
このあたりまでが登り勾配のピークで息が切れて足取りが鈍ります。ザンゲ岩を過ぎたら勾配はだんだん緩やかになってきました。
谷川岳トマの耳山頂へ立つ
登って来た西黒尾根を見下ろしてみると・・・ずいぶん登って来たなぁ。自分スゴイ。って思わず自画自賛。
谷川岳の『肩』の部分までやってきました。最後に待ち構えるのはこの雪渓。
しっかりステップを踏んで歩けばなんてことの無いこの場所を越えると・・・
谷川岳山頂(トマの耳)がすぐそこまで見えてきました。あともう一息!
標高1963m、谷川岳山頂の一つトマの耳山頂へ立ちました!
運が良い事に山頂には誰も居ませんでした。これは山頂の景色を独り占め出来そうです!!