北アルプス朝日岳・雪倉岳・白馬岳縦走記1 – 草原の五輪尾根

登山

登山した日-2012.8.8~11

午前3時40分、蓮華温泉キャンプ場の朝。外へ出ると満天の星空がぽっかり開いたキャンプ場の空に広がっていました。昨日は雲に包まれていたから天気が心配だったけど、この素晴らしい星空を見れば今日は終日好天が約束されたようなものです。

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8月、夏色の北アルプスへ挑む

蓮華温泉キャンプ場で一夜を過ごした僕はこれから2泊3日の行程で夏真っ盛りの朝日岳・雪倉岳・白馬岳を歩きます!

キャンプ場には僕以外にも10張りほどテントが張ってあって皆さん出発の準備を進めています。僕もそれに遅れまいとザックに荷物を詰め込んでいきます。

今日の目的地は朝日岳を越えた先に建つ朝日小屋で、標準コースタイムは8時間。急勾配が続く五輪尾根を登り続ける体力勝負のロングコースです。だから食欲が無くても無理やり食べ物を胃に詰め込んで、しっかり水を飲んで準備運動をして身体を整え終えた頃には随分明るくなっていました。

時計を見れば午前5時前。それでは朝日岳へ向けて出発です。

『蓮華の森』と呼ばれる鬱蒼とした森に敷かれた木道を歩いていくと下り坂になって高度を下げていきます。深いブナの森が広がる中、湿気と腐葉土臭が鼻につく空気を感じながら下り続けると盆地状の湿原へ降り立ちました。

ここは『兵馬ノ平』。朝霧が漂う空間の向こうに朝日に輝く朝日岳をはじめ、赤男山や雪倉・小蓮華山といった白馬連峰の主峰群を一望することができました。どの頂も山襞に残雪を従えていてアルペン的な光景に見とれます。

兵馬ノ平を突っ切ると再び急な下り坂。地面にむき出しの岩や根っこは朝露でしっとり濡れていて、そこへ足を置くとツルンと滑ってしまうから歩き辛くて苦労します。しかも延々とそれが続くからちょっとうんざり。

でもそんな事より、下った分をまた登り返さないといけないと思うと一層気分が滅入ります・・・。

北アルプス朝日岳白馬岳縦走蓮華温泉

蓮華温泉へ到着。でも天気はイマイチで今にも雨が降りそうです。

北アルプス朝日岳白馬岳縦走今日は蓮華温泉キャンプ場で一泊

今日は蓮華温泉キャンプ場で一泊して、明日早朝に朝日岳を目指します。

北アルプス朝日岳白馬岳翌日朝4時。外はまだ真っ暗だけど今日はロングコースだから早立ちしないといけません

翌日朝4時。外はまだ真っ暗だけど今日はロングコースだから早立ちしないといけません。

北アルプス朝日岳白馬岳兵馬ノ平から望む朝日岳・雪倉岳の山並み

兵馬ノ平から望む朝日岳・雪倉岳の山並み。

北アルプス朝日岳白馬岳縦走雪倉岳をズームアップ。8月なのに山肌にはまだ雪が

雪倉岳をズームアップ。8月なのに山肌にはまだ雪が残っていました。

北アルプス朝日岳白馬岳縦走湿気と霧に包まれた静寂の兵馬ノ平を進んでいきます

湿気と霧に包まれた静寂の兵馬ノ平を進んでいきます。

緩やかな登り返しへ~白高地沢

登山道をどんどん下っていくと水の流れる音が聞こえてきて、その音が間近に響いて来ると間もなく峡谷に架かる鉄橋が見えてきました。ここを渡ると白高地沢への登り返しで、比較的緩やかな登り返しがしばらく続きました。

沢から離れるに連れて湿気も無くなり乾いた空気を感じるようになってきます。でも辺り一面鬱蒼とした森が広がっていて展望は利かないから、自分が今どこを歩いて居るのか見当がつきません。

森を抜けて白高地沢の川岸に出ると行く手に立派な鉄橋が現れます。この橋は2012年に完成したばかりで、この橋が出来る前は手組の小さな仮設橋が白高地沢に設けられていたものの度々橋が壊れたり流されたりするので、このコースは通行出来ない事が良くありました。

でもこの立派な鉄橋が完成したおかげで白高地沢を渡れないという心配は無くなったようです。

北アルプス朝日岳白馬岳縦走兵馬ノ平を下り切ると見えてきた鉄橋。ここを渡ると白高地沢への登り返しです

兵馬ノ平を下り切ると見えてきた鉄橋。ここを渡ると白高地沢への登り返しです。

北アルプス朝日岳白馬岳縦走鬱蒼とした森が広がる白高地沢の登り

鬱蒼とした森が広がる白高地沢の登り。

白高地沢の沢岸へたどり着くと真新しい鉄橋が見えてきました。これを渡ると花園三角点の登りです

白高地沢の沢岸へたどり着くと真新しい鉄橋が見えてきました。これを渡ると花園三角点の登りです。

北アルプス朝日岳白高地沢から遠く望んだ朝日岳はまだまだ遠く先

白高地沢から望んだ朝日岳はまだまだ遠く先。

急登地獄から草原の天国へ~五輪尾根

橋を渡ると五輪尾根への急登が待ち構えていました。しかも岩が露出する箇所が連続するのでちょっと厄介。手足を使って岩をよじ登るとまた岩場。滑りやすいからそれなりに体力を要します。すでに太陽も高くなって気温も上がってるから身体中から汗が滲みでてきます。

岩場を過ぎると今度はキツイ直登が連続します。ひたすら登り続けて森を抜けると青空が真上に広がり、展望が開けて眼下に蓮華温泉や密林の広がりを拝めます。ここまで来れば五輪尾根の中間点・花園三角点(1754m)はもうすぐ。

ここから景色が一変して草原が一面に広がり、色とりどりの花々が咲くようになります。遠く連なる雪を抱いた小蓮華山や雪倉岳と草原との組み合わせは爽快な景色でここまでの疲れを吹き飛ばしてくれます。

蓮華温泉から登り始めておよそ3時間半花園三角点(1754m)へ到着しました。この辺りは台地状の平坦な地形になっていて、草原と湿原とお花畑が広がる雲上の別天地です。花に包まれ、草原や湿原に包まれ、雄大な白馬連峰の山々の絶景の中に身を置けば誰もが気分が高揚して有頂天になるはず。

五輪尾根への登り途中で後ろを振り返ると小蓮華岳(2766m)が見えてきました。アルプスの山懐深くへやってきたぞーって実感が湧いた瞬間です

五輪尾根への登り途中で後ろを振り返ると小蓮華岳(2766m)が見えてきました。アルプスの山懐深くへやってきたぞーって実感が湧いた瞬間です。

北アルプス朝日岳見晴らしの無い樹林帯の急登が続く花園三角点への道のり

見晴らしの無い樹林帯の急登が続く花園三角点への道のり。

北アルプス朝日岳白馬岳縦走樹林帯を越えると草原の世界が広がりました

樹林帯を越えると草原の世界が広がりました。

北アルプス朝日岳草原に咲くオオバギボウシの白い花

草原に咲くオオバギボウシの白い花。

草原の向こうに大きくそびえる雪倉岳

草原の向こうに大きくそびえる雪倉岳。

北アルプス朝日岳草原の中の急登。ここを登りきれば花園三角点へ到着です

草原の中の急登。ここを登りきれば花園三角点へ到着です。

北アルプス朝日岳花園三角点と朝日岳

花園三角点と朝日岳。

花園三角点から望む小蓮華山・雪倉岳・赤男山の連なり

花園三角点から望む小蓮華山・雪倉岳・赤男山の連なり。

花園三角点に広がるワタスゲのお花畑を行く登山者

花園三角点に広がるワタスゲのお花畑を行く登山者。

花園三角点から見上げる五輪山南側斜面は一面の草原

花園三角点から見上げる五輪山南側斜面は一面の草原。

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北アルプス朝日岳・雪倉岳・白馬岳縦走記2 – 蒼天の朝日岳
登山した日-2012.8.8~11 草原・湿地・雪田・お花畑・・・と、花園三角点から先は景色が目まぐるしく変化しました。 澄み渡った夏空がこれらの景色をより一層際立たせるからつい見惚れてしまいペースは大幅ダウン。早く朝日岳からの展望を拝みた...

朝日岳・雪倉岳・白馬岳地図

登山に要した時間 / 一日目8時間+二日目8時間+三日目5時間 合計21時間

登山北アルプス
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稜線の記憶