石筵登山口から巡る秋の安達太良山【前編】

登山

登山した日-2019.10.21

今回福島県で初めて登る山として選んだのは安達太良山(1700m)。10月に安達太良山の南側にある石筵(いしむしろ)登山道から山頂を目指す事にしました。

2019年は台風19号の上陸で関東・東北地方を中心に甚大な災害が起きましたが、安達太良山にもその爪痕が残っていました。例年ならば10月の時期に見れるはずの美しい紅葉が、風で吹き飛ばされてほとんど見られなかったのです。

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安達太良山(石筵登山口)の地図とコースタイム

※地図内の『+-』ボタンや画面タップで拡大縮小できます。

駐車場は母成グリーンラインそばに無料20台、銚子ヶ滝登山口に無料5台、どちらもトイレ無し。

6:20母成グリーンライン駐車場7:30旧道標9:10船明神山10:00鉄山10:50安達太良山(下山)11:30船明神山12:50旧道標14:10母成グリーンライン駐車場 (計7時間50分)




石筵登山道から安達太良山を目指す

真夜中に自宅を出て東北自動車道を車で走り続けて、石筵の登山口に辿り着いたのが午前3時過ぎでした。空を見上げると星空が広がっています。軽くウトウトして次に目が覚めると午前5時を過ぎていました。

登山を始めたのは午前6時20分。空は白みはじめたばかりで辺りはまだ真っ暗。夜中に見た星空はもうすっかり消え失せて絵の具で薄くのばしたような雲が空一面に広がり、朝日を受けて赤黒く染まっていました。

駐車場から林道を進んで少しすると『銚子ヶ滝登山口』の分岐点が見えて、ここを過ぎると牧場の敷地に沿って道は続き、やがて雑木林の中へと入っていきます。

雑木林の木々は先日の台風で葉が傷み、紅葉する前に落葉していて残念な状態でした。

石筵登山道登山口

駐車場から歩いて10分ほどにある銚子ヶ滝登山口。

石筵登山道安達太良山3

雑木林の広がる登山道を黙々と登っていきます。

安達太良山のブナの森

歩き始めて1時間程で母成登山道との合流点(旧道標)へ到着しました。ここから先はぬかるみの連続で『いかに靴を汚さず避けるか』という気を遣う登りが続きます。ぬかるみに意識を取られふと気づいたらいつしか深いブナの森の中に居ました。

安達太良山は火山で森が乏しいと思っていたから、こんな深いブナの森と出会えるなんて意外かも。ここも台風のせいで紅葉はイマイチでしたが、美しいブナの森に巡り会えただけで満足です。空はすっかり明るくなって時折木漏れ日が差し込んで来ました。

石筵登山道に広がるブナの森

中腹に広がるブナの森。

ブナの木を見上げてみました

森を見上げて。このコースは人も少なく静かに森歩きを堪能できました。

森を抜けて灌木地帯へ

急勾配の登りに差し掛かり悪戦苦闘しながら登り続けると、ブナの森はシラビソやコメツガの針葉樹の森に変わり勾配が幾分緩やかになりました。歩き始めてから続く展望の無い登山に大きく変化が起きたのはこの辺りで、目の前の視界が突然開けると灌木が広がりました。

目指す安達太良山はまだ見えないけれど前衛の船明神山(1667m)が眼前に大きく展開し、今までまともに見えなかった和尚山(1602m)もはっきり見え、後ろを振り返ると磐梯山の尖峰が遠く雲から頭を突き出していました。

安達太良山の灌木地帯

ブナや針葉樹の森を抜けた先は見晴らしの良い灌木帯。

石筵登山道から和尚山を望む

和尚山(1602m)の頂きを遠くに望んで。

磐梯山を遠く望む

遥か遠く雲の上から頭を突き出した磐梯山。このあと雲が広がって磐梯山を望むことは叶いませんでした。

西黄色の紅葉

僅かに紅葉で色づいた安達太良山の中腹。台風さえ来なければ素晴らしい錦色に染まっていたに違いありません。

荒涼とした船明神山と沼ノ平の展望

灌木地帯に出てからは、キタゴヨウやシャクナゲの木々が長年の風雪で虐げられ盆栽のように低くねじ曲る木々の中を登り続けます。

今までなんとか持っていた天気は鉛色の雲によって展望をかき消そうとしています。

あともう少しで船明神山の山頂なのに。あそこに立てば展望がもっと開ける筈だからそれまで天気がもってほしい!疲労した身体に鞭を打って駆け足で船明神山に立つも間に合いません・・・ガスが辺りに立ち込めてしまいました。

展望はダメか・・・と諦めていたら雲が切れて荒々しい火口壁が眼前に現れました。それは安達太良山の噴火口で、今でも有毒なガスを噴出し続ける『沼ノ平』でした。

見えて来た船明神山

登山口から登り始めて約3時間、眼前に船明神山の頂きが見えてきました。

船明神山の荒涼とした世界

船明神山の山頂へ立つと、草木は無くなって赤茶けた岩や砂が広がる殺風景な景色が広がるばかり。

沼ノ平の死の世界

沼ノ平の全景が雲の中から姿を見せてきました。今まで緑だった世界が突然荒涼とした世界へ変貌します。

石筵登山道安達太良山14

沼ノ平の中心は白い火口原。降り立って見たいけど周辺は有毒ガスが立ち込めているので立ち入り禁止。

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