奥秩父・初夏の熊倉山

登山

登山した日-2017.5.21

熊倉山は秩父市街地の南西部にそびえる標高1427mの山で、昭文社発行の山と高原地図(エアリアマップ)で熊倉山を見てみると『奥秩父の雰囲気が味わえる』と書いてあります。

『”奥秩父の雰囲気”とは苔むした岩が露出した深い原生林が何処までも続いていて、訪れる人も少ない静かな山・・・』

と、勝手にそんなイメージを持っていた僕はその雰囲気を味わいにこの山へ行ってみることにしました。久々の本格登山です!

熊倉山の地図とコースタイム

※地図内の『+-』ボタンや画面タップで拡大縮小できます。

登山口に車数台分の駐車スペースがあります。

【コースタイム】
6:50登山口9:10熊倉山山頂9:35分岐点10:00笹平12:00登山口下山(計5時間10分)







登りは城山コース

5月21日。国道140号線をバイクでひた走って秩父市街までやって来ると、眼前に武甲山の頂きが大きく迫ってきました。

黄砂が飛んでいるのか靄がかかっているけど雲1つない青空!秩父市街を過ぎると武甲山から西側に続く山並みが近づいて来て、その一角にそびえる熊倉山を眼の前に捉えました。

見上げる熊倉山はギザギザしていてなかなか険しそう。

『道の駅あらかわ』の先にある信号で脇道へ逸れて『谷津川館』という宿を目指して進んでいき、谷津川館を過ぎると道路は車がやっと一台通れる程の狭さになるけどバイクだとノープロブレム。やがて峠の広場に出るとここに城山コースの登山口がありました。

路肩には車が数台停まれるスペースがあるけど、車は一台も無く今日の一番乗りは僕のようです。

熊倉山の城山コース登山口

熊倉山の城山コース登山口。熊倉山は遭難者が多いのか遭難注意を促す看板が多くて登山口には登山ポストがしっかり置かれています。

序盤から急登の連続

登山口から一歩奥へ入ると、スギ・ヒノキの人工林が広がるなだらかな尾根歩き。

森の隙間からは奥秩父の山並みや山にへばりつく小さな集落を望めたものの霞んでいるので展望はイマイチ・・・まあこの先これよりスゴい展望に出会えるさ。なんて思ってると突然胸を突く登りが始まりました。

急斜面にジグザグに刻まれたキツイ道を登り続け、途中で下を俯いてみると目も眩むような傾斜。しんどいけどまだ序盤で体力満タンだからこの程度は何てことはありません。

1時間程こんな登りを続けると比較的幅広な尾根へ立ちました。地形が変わるから森の雰囲気も変わるんじゃないかと期待するも、相変わらずスギ・ヒノキの人工林が続いてがっかり。おまけに展望も無いし単調な登山だしちょっとばかし登山が飽きてきました。

幅広の尾根道は進むに連れて白い石灰岩がむき出しの痩せた険しい尾根道へと変わっていきました。

久しぶりの本格登山

登り始めはスギヒノキの森の中。ちょこっと新緑もあって初夏らしい雰囲気。

熊倉山の城山コース登山根っこ蔓延る山道をひたすら進んで

根っこ蔓延る山道をひたすら進んで。序盤から傾斜のある山道が続きます。

アップダウンのある痩せ尾根を越えて

痩せ尾根では足元を慎重に確かめながらの急登降が連続します。尾根の両サイドは深く切れ落ちていて滑落したらタダではすみません。

痩せ尾根を越えると、あとはずっと急勾配の直登が続いて随分高度を上げました。山頂にも近づいて来たしそろそろ美しい広葉樹の森が広がって来るはず・・・と思いきや、依然スギヒノキの人工林が続いて美しい森に出会えませんでした。

熊倉山の城山コース峻険な岩稜地帯へと変貌してキツイアップダウンが連続

幅広の緩やかな尾根道はいつしか峻険な岩稜地帯へと変貌してキツイアップダウンが連続。

熊倉山城山コース登山痩せ尾根付近で一箇所展望が開けた所があったので展望を拝むも霞んでイマイチ

痩せ尾根付近で一箇所展望が開けた所があったので展望を拝むも霞んでイマイチ。

熊倉山の城山コース登山熊倉山山頂直下ミツバツツジの群落

熊倉山山頂直下までやってくると森の中にミツバツツジの群落をそこかしこで見ることが出来ました。

熊倉山の城山ブナの木を見上げて

ブナの木を見上げて。癒やされるわー。

初夏の熊倉山山頂

やがて日野コースとの分岐点へ到着すると熊倉山山頂はもう目と鼻の先で、分岐点から5分ほど登るとミツバツツジに彩られた小さな広場が見えてきました。熊倉山山頂へ到着です。

山頂に横たわる岩の上へ腰を下ろして一服しながら熊倉山山頂の周りを眺めてみます。眺望の無い深い森にエゾハルゼミの合唱がワシワシと響く中でまったりと過ごす極上のひととき。展望が無くても山頂に咲くミツバツツジの花と蝉の鳴き声があるだけで僕は十分満足です。ミツバツツジは満開のピークを過ぎ花を散らしていたものの、まだそれなりに咲き残って初夏の雰囲気を醸しだしていました。

でもやっぱり展望が見たいや。と思って多少空間のある部分から背を伸ばして望んでみたものの、何処かの山のシルエットが霞の向こうに僅かに見えるだけでした。

しばらく山頂に滞在して存分に山頂の雰囲気を堪能したから疲れも取れました。さあそろそろ下山しよう。下りは日野コースを歩いてみる事にします。

熊倉山日野コースとの分岐点

日野コースとの分岐点へ到着。あとは目の前の斜面を登れば山頂へ到着です。

熊倉山山頂へ到着

熊倉山山頂へ到着。山頂は木々に包まれて展望は望めませんでした。

熊倉山の山頂標識

熊倉山の山頂標識。

熊倉山山頂東面のダケカンバの森

熊倉山山頂東面にはダケカンバの森が広がっていました。

下りは日野コース

熊倉山山頂から分岐点まで戻って日野コースへ進んでいくと、スギ・ヒノキ広がる斜面をトラバース気味に緩やかに下って行き、やがて『笹平』と呼ばれる平坦な台地へ降り立ちました。この付近は広葉樹が茂っていて、そこだけバイケイソウやハシリドコロの緑の絨毯が広がる不思議な場所でした。

笹平を過ぎた後はひたすら単調な下りが続き、沢岸へ降り立つと沢を何度も左右に横断しながら下り続けると前方にガードレールが見えて林道終点(日野コース登山口)へ降り立ちました。

あとはこの林道をひたすら歩いて舗装された道路へ出て、城山コースの駐車場へ戻りました。

分岐点からら日野コースを歩いて下山します

分岐点からら日野コースを歩いて下山します。

スギ・ヒノキの人工林が続く単調な森の中を下ってまずは笹平へ

スギ・ヒノキの人工林が続く単調な森の中を下ってまずは笹平へ向かいます。

バイケイソウの緑の絨毯が広がる

バイケイソウの緑の絨毯が広がる笹平。ここだけなんだか別世界。

熊倉山のバイケイソウ

バイケイソウ。

沢岸へ降り立つと沢を左へ行ったり右へ行ったり。雨の日など水量が多い日は渡渉が大変かも

沢岸へ降り立つと沢を左へ行ったり右へ行ったり。雨の日など水量が多い日は渡渉が大変かも。

木々の向こうにガードレールが見えて来ると登山も終わり

木々の向こうにガードレールが見えて来ると登山も終わり。

熊倉山の城山コース登山口

日野コース登山口へ無事下山しました。あとはバイクを停めている城山コースの登山口まで林道を歩いていくだけです。

麓から見上げる熊倉山

麓から見上げる熊倉山はなかなか重厚で険しい山容でした。

熊倉山を登った感想

今回熊倉山登山で歩いた城山コース、日野コースは最初から最後までスギ・ヒノキの人工林が付き纏うので、天然の森は乏しく展望も恵まれず、景色を求めて行くと少しガッカリするかもしれません。

でも登りで歩いた城山コースは急登・難所もあって登山欲を掻き立ててくれます。久しぶりの登山だった僕には『登山は楽しいんだ!』って再認識させてくれた山でした。

そして今回の登山のテーマ『奥秩父らしい雰囲気』を一番感じられた所はというと、熊倉山山頂でした。山頂に広がる深い原生林はひどく鬱蒼としていて幽玄の森っていうか樹海っていうか。この雰囲気こそが僕の奥秩父のイメージと一致するんですよね。

熊倉山で見た花はこちら

今回の登山で出会った花々をこちらで紹介しています!

奥秩父・熊倉山で見た花(5月下旬)
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