7月、盛夏の乾徳山へ

登山

登山した日-2016.7.30

7月末、一年で最も暑い時期に奥秩父の乾徳山(2031m)を歩いてみました。

乾徳山の地図とコースタイム

※地図内の『+-』ボタンや画面タップで拡大縮小できます。

【コースタイム】7:20駐車場→8:00銀晶水→8:40錦晶水→8:50国師ヶ原→9:20扇平・月見岩→10:15乾徳山山頂→11:55高原ヒュッテ→12:45駐車場








夏真っ盛りの乾徳山

登山口がある山梨県山梨市の徳和集落へ朝の7時に到着しました。辺りはエゾゼミの大合唱に包まれていて、耳をつんざく音が鼓膜に響きます。肌に感じる空気は蒸し暑くて、緑濃い山々が周りに広がっていました。

登山の支度を終えて駐車場から小石の多い林道を十数分ほど歩いていくと、乾徳山の登山口が見えてきました。登山道の奥はスギの薄暗い森でギラつく夏の日差しを遮ってくれました。

乾徳山夏

国道140号線から見上げた乾徳山。

乾徳山夏登山口。さあ出発しよう

駐車場へ到着。さあ出発しましょう。

乾徳山夏駐車場から林道を歩いてまず登山口へ

駐車場から林道を歩いて登山口へ向かいます。

乾徳山登山口

乾徳山登山口へ到着。ここから本格的な登りが始まります。

蒸し暑い樹林帯の中を歩く

登山道は沢筋をたどっていきます。森の中は無風で蒸し器の中で蒸されてるような感覚だから汗びっしょり。しばらくすると『銀晶水』と呼ばれる水場にたどり着いて、たらふく水を飲むと火照った身体が随分楽になりました。

銀晶水を過ぎると登山道は沢筋を離れ、カラマツやアカマツが混じった木漏れ日の差す緩やかな登りになり、湿気は幾分落ち着いたもののやっぱり暑くて死にそうです。

登山口では五月蝿かったエゾゼミの声はここには無く、時折登山者が鳴らす熊鈴の音が聞こえる以外は静かな森歩きが続きました。

ひたすら登り続けて2つ目の水場『錦晶水』へ到着して、ここでもまた腹いっぱい水を飲んで先へ進むと、傾斜が緩んで美しいカラマツ林が広がる『国師ヶ原』の高原へ辿り着きました。やがて森が開けて目の前に尖った頂の乾徳山南面が見えた瞬間思わず声を上げてしまいました。

乾徳山夏登り始めから薄暗いスギの人工林の中

登り始めから薄暗いスギの人工林の中。

乾徳山夏登っていきます

ひたすら登っていきます。蒸し暑くて汗がドバドバ。

乾徳山錦晶水の水場

錦晶水の水場。ここを越えると勾配は平坦になって国師ヶ原の高原へ到着です。

牧歌的な景色の国師ヶ原と扇平

白い雲に青い空。瑞々しい緑に包まれたシラカバやカラマツの森と草原。そんな国師ヶ原はまさに雲上の別天地でした。

国師ヶ原から見上げた乾徳山は全山鬱蒼とした森に包まれ、山頂から東側に垂れ下がった肩の部分に目をやると緑の絨毯が広がっているのが見えて、そこは『扇平』と呼ばれる草原地帯でした。

その扇平は真夏の日差しを受けて一際エメラルドグリーン色に光り輝いています。さあ今度はあの扇平を目指そう。

国師ヶ原から疎林の中を進んでいくと登山道はキツイ登りになり、樹林帯を抜けて扇平の末端まで登って来ると、ギラついた日差しに晒され咽るような草の匂いに包まれました。国師ヶ原から見上げた扇平の草原は爽やかそうに見えたのにいざここへ立ってみると、暑すぎて爽快じゃありません。

扇平の真ん中に鎮座する『月見岩』へ到着しました。ここは小さな広場になっていて絶好の休憩地。足を止めると僅かに高原の風を感じてちょっぴりクールダウン。見晴らしも利いて晴れていれば甲府盆地や富士山を眺められるけれど、湧き出した雲のせいで何も見えず残念。月見岩から乾徳山を見上げると山頂部が急速に曇ってきたから、先を急ぐことにしました。

乾徳山夏国師ヶ原へ

国師ヶ原へ到着すると森が開けて眼前に乾徳山の南面が見えてきました!ちなみに山頂は奥にあってここからは見えません。

乾徳山夏国師ヶ原を過ぎて扇平の登りに取り掛かると急斜面の連続

国師ヶ原を過ぎて扇平の登りに取り掛かると急斜面の連続でちょっとしんどい・・・でもあともう少しで樹林帯を抜けそうです。

乾徳山夏扇平のど真ん中に鎮座する月見岩。ここは富士山や甲府盆地の眺望が利いて絶好の休憩ポイント

扇平のど真ん中に鎮座する月見岩。ここは富士山や甲府盆地の眺望が利いて絶好の休憩ポイントです。

乾徳山夏期待した月見岩からの展望は雲と霞でイマイチ

期待した月見岩からの展望は雲と霞でイマイチ・・・天気はまあまあいいんだけど。

扇平から見上げると乾徳山南面がもう間近

扇平から見上げると乾徳山南面がもう間近。

不思議なケルンに導かれながら扇平を越えて乾徳山の核心へ向かいます

不思議なケルンに導かれながら扇平を越えて乾徳山の核心へ向かいます。

岩稜地帯に悪戦苦闘

扇平を過ぎて針葉樹林帯へ突入すると、急斜面の登りの連続で足取りが鈍くなってきました。

手足を使ってよじ登らないと越えられない斜面がいくつもあって必死になりながら乗り越えると、今度は岩場に掛かる鎖場が現れたりとなかなかキツイです。鎖をしっかり掴んで踏ん張って岩の上に立って景色を望むもガスに包まれて何も見えません。

そして乾徳山最後の難所、垂直の岩場の『鳳岩』が行く手を阻みます。高さ十数メートルはありそうな岩に掛る一本の鎖を手がかりに登っていきます。(ちなみに迂回路もあります。)

手でしっかり鎖をつかんで足を岩の割れ目に足を食い込ませて登り切った先は白い巨石が累々と積み重なった殺風景な空間が広がっていてここが乾徳山山頂でした。

乾徳山夏扇平の牧歌的な草原から一転、薄暗い岩場の急登にもうヘトヘト

扇平の牧歌的な草原から一転、岩場の急登にもうヘトヘト。

乾徳山夏急登を越えると今度は鎖場。一息つく間もありません

急登を越えると今度は鎖場。一息つく間もありません。

乾徳山夏さっきまで居た扇平はすっかり遥か彼方へ

さっきまで居た扇平はすっかり遥か彼方へ。

乾徳山山頂直下に立ちはだかる鳳岩の岩場。高所恐怖症の人には迂回路もあるので安心です

乾徳山山頂直下に立ちはだかる鳳岩の岩場。高所恐怖症の人には迂回路もあるので安心です。

乾徳山夏鳳岩を登り切って歩いて来た方向を振り返るとガスに包まれて展望はイマイチ

鳳岩を登り切って歩いて来た方向を振り返るとガスに包まれて展望はイマイチ。

キツイ斜面の下山道

乾徳山山頂は360度視界が開けていて、富士山や南アルプス、奥秩父の山々や甲府盆地の広がりを堪能出来るはずなのに、やっぱりガスに包まれ展望はゼロ。

北側へ目を向けるとこれから目指そうかと思っていた黒金山方面も厚い雲。まだ午前中なのに雲がもくもくと湧き出し動きが活発で雷雨になりそうな雰囲気だし、展望にありつけずテンション下がりっぱなしだった僕は黒金山へ向かうのを諦めて下山することにしました。

でも歩いて来た道をそのまま戻るのもつまらないと思ったので、山頂北側から国師ヶ原へ伸びる下山道を利用します。

山頂を離れて、標識の立つ小さな鞍部から西側へ伸びる下山道を下っていくと急傾斜のガレ場で、岩面はどれもヌルヌル濡れているから足を置くとツルンと滑ってしまってまともに歩くことが出来ません。

なんでも無い段差でも滑るから、ひざを地面についてかがみながら必死になっていると、思うように歩けない不満からイライラ感が増して来て『早くこんな所抜け出したい』と思いながら空を仰ぐも、陰鬱な森に阻まれ一層イライラ感が増してくるのでどうにもなりませんでした。

ひたすら耐えながら歩き続けていくと、傾斜が緩んで森を抜けて国師ヶ原に建つ高原ヒュッテ前へ降り立ちました。国師ヶ原まで降りればあとは普通に歩く事が出来る・・・!この瞬間に味わった安堵感は今でも忘れられません。

そう思いながら見上げた国師ヶ原の空はすっかり曇ってしまい、登りの時に見た瑞々しい夏色の景色はすっかり失せていました。

乾徳山の山頂

岩が積み重なった乾徳山の絶頂。

乾徳山見晴らしはいいけど生憎の曇天で展望は利かず残念。黒金山方面も厚い雲に覆われてきました

見晴らしはいいけど生憎の曇天で展望は利かず残念。これから目指そうかと思っていた黒金山方面も厚い雲に覆われてきました。

乾徳山ガレ場の急な下りが続く下山道は滑りやすくて本当に歩き辛いです

ガレ場の急な下りが続く下山道は滑りやすくて本当に歩き辛いです。おまけに見晴らしも無く陰鬱な森歩きだから精神的に参りそう。

下山道を下り切って国師ヶ原に立つ高原ヒュッテへ到着。ここまで来ればあとの下りは大したこと無いからほっと一安心

下山道を下り切って国師ヶ原に立つ高原ヒュッテへ到着。ここまで来ればあとの下りは大したこと無いからほっと一安心。

乾徳山国師ヶ原にはあちこちでシカが居て、登山者を見ても素知らぬ顔

国師ヶ原にはあちこちでシカが居て、登山者を見ても素知らぬ顔で歩いていました。

帰り際に見上げた乾徳山は空一面雲が広がり、登りの時に見た夏の鮮やかさは少し失われていました

帰り際に見上げた乾徳山は空一面雲が広がり、登りの時に見た夏の鮮やかさは少し失われていました。

個人的に感じた乾徳山の魅力

乾徳山は過去に何回も登ってきましたが全然飽きの来ない山です。首都圏から日帰り出来るアプローチの良さもさることながら、草原あり、森あり、岩場あり、そして展望良好と飽きる要素なんて無いですよね。
個人的に乾徳山で一番お気に入りのスポットは『国師ヶ原』。メルヘン的で美しいカラマツとシラカバの森から見上げる乾徳山の景色がなんかツボにハマって大好きなんです。

扇平や乾徳山山頂から望む富士山や甲府盆地、南アルプスの展望も雄大で一見の価値ありです!

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